戦時中、国民の不満を抑圧して、戦いに意識を向けさせるために生まれたのが戦時標語で、「贅沢は敵だ!」とか「足らぬ足らぬは工夫が足らぬ」とかいろいろあって、小学校でも朝礼の時、全校生徒に唱えさせていた。母親が通っていた麻布の公立小学校(私の母校)では、こんな感じだった。
校長先生「欲しがりません。勝つまでは!」
全校生徒「欲しがりません。勝つまでは!」
6年生の一部「だけどもやっぱり欲しいよ〜!」
列の後ろの方に並んでいた6年生(ヤエ子さんたち)が混ぜっ返して、クスクス笑いあっていた。すると教頭先生もニヤリと笑って、「コラ、そこ!ふざけるんじゃない」と怒ったのだけど、それ以上とがめられることもなかったそうだ。
戦時下の多くの小中学校では、恐ろしいほど気まじめに、戦時標語を子どもたちに唱和させていたはずである。「まぜっかえす」なんてことをしたら、こっぴどく怒られたに違いない。
ギスギスした状況の中で、子供たちの言葉をニヤリと笑ってやりすごすことができた大人は、素敵だと思うのです。
欲しがりますよ!ネコだもの。
足らぬ足らぬぞ、もっと出せ!