2017年08月04日

猫博士と小林君:パーソナル台風

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ラベル:台風 猫博士
posted by jin at 16:10| 東京 ☁| Comment(0) | 猫博士と小林君 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

非国民ってだれ


 母親が中学に上がった頃だから、第二次世界大戦も中盤から後半、勝敗の雲行きもだいぶ怪しくなってきていた。食糧も衣服も日用品も不足して、生活はかなり苦しくなってきていたけれど、不満をもらすことは許されず(公の場で不満なんかもらしたら牢屋行き)、言論統制や思想コントロールも厳しさを増していた。と、そんなある日、学内でも「美人」として知られていた先輩が、母親に声をかけてきた。

 「明日、銀座に行くからね。家にある洋服の中で、いちばんきれいな服を着てくるんだよ!」

 なんのことかわからず(怪しい。母親は確信犯の可能性がある)、それでも母親は、よそ行きの赤い服を着て先輩と合流した。一方の先輩は、舞踏会で着るドレスのような服。

 銀座の街を歩いていると、たすきをかけたおばさん(国防婦人会か)が二人を呼び止め、険しい顔でビラを渡そうとした。

 『あなたは非国民です』

 そう書かれたビラを見た先輩は、ドレスの両端を指先でつまんで、片足をさっと下げておじぎをすると、「これは、まぁ、どうもありがとう!」といってビラを受け取り、母親の方を見て叫んだ。

「逃げろー!」

二人して銀座の街並みを走って逃げて、おばさんたちの姿が見えないところまでくると、ゲラゲラ笑い合って「非国民だってさ。ばかみたい」とビラを破り捨てたそうです。

これをするためだけに、二人でオシャレして銀座に行ったのです。

小学生だったぼくは、この話を母親から聞かされながら「こういう先輩みたいな人がもっとたくさんいたら、戦争なんて道には進まなかったのかな」と、なんとなく思ったのです。

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    そもそも私、猫だから…
posted by jin at 11:30| 東京 ☁| Comment(0) | ぼくが戦争を嫌いな理由 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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